静岡新聞社は、2015年11月にリリースしたスマホアプリ「インコ式静岡新聞」の開発をきっかけにチャットワークを導入されています。
「インコ式静岡新聞」は地方紙が新しい接点を開拓するために、女子高生をターゲットにサービス提供をスタート。頻繁に会議ができないチームの打開策として、チャットワークを使って、リモートでアプリの企画検討、機能や表現の調整をされたとのことです。
今回は、そんな「インコ式静岡新聞」の開発秘話をご紹介します!
若い世代との接点をつくるため、「インコ式静岡新聞」を開発
左から、黒田様(ソケットベース)、磯部様(ソケットベース)、奈良岡様(静岡新聞社)、久保田様(静岡新聞社)、牛島様(ローカルメディアラボ)
─なぜ、このような可愛いアプリの制作をすることになったのでしょう?
奈良岡:当社は新聞、テレビ、ラジオ、インターネット各メディアでニュースを発信していますが、基本的に我々のお客様は年代が高めです。メディアへの接触は習慣によるところも大きく、そのまま年をとって読者・視聴者の年齢構成が持ち上がっていくことになります。
若い世代の人との接点を持つことがなかなかできていなかったため、新しい接点を作ろうとして、2009年にインコ式静岡新聞のブランドCMを作成しました。我々は地域に密着メディアですので、生活をしていく上で人や地域や情報と最初に繋がる入り口になりたい。生活をしていく上での一番のアシスタントみたいな位置になりたい、という「Personal Life Assistant」構想をわかりやすく伝えるのが目的でした。CMはインコが可愛かったということもありかなり評判になりまして、YouTubeで40万回くらい再生されましたね。ネットユーザーが勝手にアップしたものだったんですが(笑)。
インコ式静岡新聞のCMはこちら
ブランドCMですし、半分冗談のつもりで2030年開始と謳って、ゆるゆる考えようと思っていたんです。周囲の環境が変わり、新しい接点を早く構築したいという話が社内で出るようになってきたのですが、いつも必ずインコの話になるのです。こういう機能が付いていたらいいよねとか、社内的に大変盛り上がる。これは何かある。インコは何かを持っているに違いないと(笑)。じゃあ、いよいよやりますかと。
女子高生をターゲットにした記事を選び、担当者がインコ語に翻訳
─どのような点を工夫されましたか?
奈良岡:さすがに現段階では、毎日インコにニュースを覚えさせて飛ばすわけにはいかないので、リアルインコは未だ早い、今やるならスマホかなと。
一番こだわったのが、新聞が持っている価値のエッセンスです。一般的な新聞の価値とは、「毎日届いて、自分の興味のあるなしに関わらずめくれば何か目に入ってきて、お、何これ、と気づきが得られる」という点です。
今ではその人に合ったニュースをお届けするレコメンドエンジンが入ったニュースアプリもありますが、結局最適化されてしまうと、自分の興味のないものが届かなくなってしまう。どのニュースアプリを見ても、どこかで見たものばかりになってしまう。そうなると、自分が意識しないものは見られなくなってしまいます。
だから、パーソナライズしないと決めました。毎日ニュースを3本お届しますが、どのユーザーもこの3本です。ターゲットを女子高生としましたので、地元の学校・学生ネタは多めですね。あとは女子高生が喜びそうなエンタメネタを入れてみたり。当社の編集局デジタル編集部の人間が3本選び、インコ語に翻訳しています。
チャットワークが無ければこれだけ作り込めなかった
─チャットワークはどのようにお役に立ちましたか?
奈良岡:私も外に出ることが多く、プランニングをしたローカルメディアラボさんやユピテルプラスさん、アプリを開発したソケットベースさん、プログラマーさん、デザイナーさんと、皆さん拠点がバラバラだったので、勧められてチャットワークで連絡を取ることにしました。開発中にたくさんの試行錯誤をしたのですが、チャットワークが無ければこれほど順調には進まなかったでしょうね。15年6月ごろに企画がスタートし、15年9月にはほぼ完成しました。
例えば「モックアップを作成していろいろな人に見せたところ、女子高生からかわいいと評判でした。実はもう少し上の世代、子育て中のお母さんなどを狙おうか」という話もあったのですが、その世代よりも女子高生の方が反応良く、今回は女子高生をターゲットとしました。
その後、私を含めたメンバーの家族のスマホ利用スタイルを観察して、チャットワークで情報を持ち寄りました。ニュースアプリですから朝にチェックしてもらいたい。でも朝の忙しい時間にそういった時間が取れるかと?
まとめると、朝はスマホのアラームで起きる。そしてベッドに入ったまま、夜のうちに届いている友達のLINEとかをチェックし、それからベッドを出ます。その後は朝食をとったり身支度をしたりと、落ち着いて情報を確認する状況ではない。学校自体スマホ持ち込み禁止だったりするので、もう全然スキがない。もしあるとすれば、LINEの前だ。ベッドから出たらアウトだと思いました。だとしたら、目覚ましだと。
目覚ましについては、スタッフのお嬢さんの一人が多数の目覚ましアプリをスマホに入れていました。起きられないと、いろいろな種類を試していたそうです。目覚ましアプリを次々と変えていくのは、それで起きられなかったからです。そこで話を聞いて学んだことは、ちゃんと起きられる目覚ましでないとダメだと。だから目覚ましの音声はこだわりました。
iOSのローカル通知機能には流せる音楽の秒数が決まっていて、コンマ何秒と長いだけでうまくいきません。何度もチャットワーク上でやり取りをしましたね。
リリース後も機能を追加するなど、チャットワークでやり取りをしつつアップデートを続けているそうです。社外のパートナーとコミュニケーションしながらプロジェクトを進める際に、チャットワークがお役に立っているとのこと。
チャットワークは社内利用だけでなく、社外とのコラボレーションを想定して設計しております。今回の静岡新聞社のようなプロジェクトの際に、ぜひ使ってみてください。
インコ式静岡新聞
http://inkoshiki.jp/