2016年10月13日木曜日

トップ対談:Instabug CEOが語るこれからのアプリの戦い方

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本日、チャットワークInstabugと連携したことをお知らせします。Instabugはユーザーフィードバックの収集システムをアプリ開発者に提供し、ユーザー体験の改善をサポートしています。両ツールの連携により、Instabug経由で来たユーザーからのフィードバックを、チャットワーク上でも確認でき、他のチームとも共有することができるようになります。今回の連携を機に両社のトップ同士で対談を行いました!





母国を離れシリコンバレーで戦う


2016年は400万以上ものアプリがApp StoreおよびGoogle Playでリリースされています。いくつかのアプリは人気が出てサービス寿命も長いですが、ほとんどのアプリはスポットライトを浴びることなく姿を消していきます。アプリが失敗に終わり、ユーザーがサービスを利用する前に消えてしまう理由は多々ありますが、何よりもユーザー理解ができているかが、重要だと考えています。

今回チャットワークと連携をしたInstabugについてより理解を深めるために、そして、シリコンバレーでの起業について知るために、Instabug CEOのオマール・ガブル(Omar Gabr)とChatWork代表取締役 山本敏行が対談を行いました。両者ともそれぞれ母国からITスタートアップの聖地であるシリコンバレーに自身の拠点を移したことは興味深い点ですね。



Instabugとチャットワークについて


製品についてもう少し詳しく聞かせてもらえますか。

オマール氏: もちろんです。私たちはユーザーがサービスのフィードバックやバグの報告をしたり、問い合わせを行うシステムを提供することで何千ものモバイルアプリをサポートしています。エンジニアやサポートチームは、フィードバックに返信することができ、リアルタイムでユーザーと会話をすることが可能となります。そのため、サービスの本質は「ユーザーと開発者をつなぐコミュニケーションプラットフォーム」だといえます。私たちは4年前に製品をリリースし、AppストアのトップAppのうち4分の1のアプリを含む、何万、何千ものアプリをサポートしてきました。




山本: チャットワークはビジネスチャットツールでチャットの他に、タスク管理、ファイル共有、ビデオ/音声通話ができます。私たちは社内外のビジネスのコミュニケーションを手助けしています。2011年にサービスの提供を開始し、11万3,000社以上に利用してもらっています。


製品のアイデアはいつ生まれたのですか。

オマール氏: 大学時代に私と共同創始者はコンピューターサイエンスを勉強しており、位置情報をもとに、近くのイベントを知らせるソーシャルアプリを作っていました。いざリリースするとなったときに、事前テストをした方が良いと思い、ユーザーテストができるツールを探したのですが、私たちが求めているようなサービスはありませんでした。エンジニアとして、それであれば自分たちで開発するべきだと思い、実際に開発したところ、私たち自身が非常に気に入ったのです。その直後に、InstabugとしてHacker Newsに公表したところ、開発者たちの支持を受けることができたので、引き続き機能追加や改修を行ってきました。

山本: ビジネスチャットツールのアイデアは10年以上前からありました。2000年に社内コミュニケーションツールとしてICQを利用し、そしてMSN messenger、Skypeと利用してきましたが、自分たちのビジネス利用には向いていなかったため、自社で開発することにしました。


どんな人が製品を使っているのですか。

オマール氏: 私たちのメインターゲットは開発者やプロダクトマネージャー、サポート系の人たちで、トップランキングにはいっているアプリの多くが私たちの製品を利用しています。モバイルアプリに特化し、サービス開発のスピードを重視しています。また、私たちの開発チームはシリコンバレーとカイロに拠点があり、どのタイムゾーンも網羅できているので、いつも誰かしらがオンラインの状態で問題が起きてもすぐに対処できるのも利点です。そのため、顧客からの評判も良く、口コミでサービスの利用が広まっています。

山本: 私たちの製品はさまざまな業界、業種に利用されており、士業、コンサルタント、広告代理店、病院、工場、大学、そして農業までもがチャットワークを利用しています。現在11万3,000社以上が利用していますが、そのほとんどは口コミなどによる自然増です。アジア市場で利用が急増しているので、西欧市場への参画も視野に入れています。


グローバル展開をするスタートアップとして、米国市場でビジネスを成長させるために最も課題と感じていることは何ですか。

山本: もともとチャットワークを開発する前、私たちは企業の生産性を向上させるソフトウェアの販売代理を行っていました。また、中小企業を対象にITで業務効率を上げるコンサルタントサービスも提供していました。したがってチャットワークをリリースしたときには、すでに直接販売できる企業と支援者がいました。

そのため、昨年までは自己資金で会社を運営し、利益は出していたのですが、常にキャッシュのこと、そしていかに事業を維持するかを考えなくてはいけない状況でした。今以上に人材に投資をして事業を大きくしたいと考えたときに、自己資金だけでは限界があると思い、ベンチャーキャピタルから投資を受けることを決断したのです。初回は3億円、2回目は15億円の資金調達を実施しました。組織は1年で30名から80名にまで大きくなり、自身のマネジメントスタイルもそれに順応させる必要がでてきました。米国を拠点として組織をマネジメントしグローバルで成長していくことが私にとって大きな挑戦です。

オマール氏: 私たちにとってよかったのは、一番最初に製品をリリースしたときにHacker Newsで取り上げられ、その後QuoraStack Overflowでいくつかの質問に回答したことです。これらの出来事がシリコンバレーで注目を浴びるとは思いもよりませんでしたが、最初のロイヤルカスタマーは全てサンフランシスコとベイエリアの会社でした。正直なところシリコンバレーのことは良く知らず、地域を限定したニッチマーケティングなどは何もしませんでしたが、利用地域を見てみるとこのエリアで利用されていました。

それ以外だと、エジプト発の製品であるということが販売促進のいいきっかけになっています。2013年に製品をリリースしたとき、それはエジプト第2革命の数日後だったのですが、製品の話よりも革命のことについて聞きたい人々からの面会依頼がきました。

私たちはそれを良いことだととらえ、「私たちは御社とお会いしたいです。エジプト出身の会社なので、現地の状況も情報提供できますよ」と営業をかけました。なぜならエジプト界隈は大きな話題になっていましたし、エジプトで開発者向けツールを作っている会社に興味を持つ人が多かったからです。



Y Conbinatorの存在


Y Combinator*の在校生としての経験はどうでしたか。

オマール氏: 私たちは以前からY CombinatorとHacker Newsのネットワーク、そしてポール・グレアム(Paul Graham)やサム・アルトマン(Sam Altman)などのパートナーの大ファンでした。Y Combinatorに参加することは本当に大きな意味があり、チームの成長と成功に向けた基盤づくりの大きな手助けとなりました。

そしてやはり、サム・アルトマンやポール・グレアム、ジャレッド・フリードマン( Jared Friedman)と30分だけでも時間を共有することには非常に価値があります。彼らはスタートアップ企業を次のレベルに引き上げるにはどうしたらいいかを真剣に考え、助けてくれます。彼らは何千もの企業が失敗し、あるいは成功して何十億もの利益をあげて売却する姿を見てきています。彼らが自分たちの見方になってくれたことで、「Demo Day」を通して、私たちは昨年4月にAccel Partnersから1.7億ドルを資金調達することができました。

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*Y Combinatorは世界で初めてASPサービスを作ったことで知られるポール・グレアムなどにより2005年に設立されたカリフォルニア州にあるベンチャーキャピタルです。スタートアップ企業に対し小額を投資し、年に2回実施される3ヶ月のスクールを通じて集中的に指導、他のベンチャーキャピラタルから投資を受けられる状態まで育てることが特徴です



スタートアップが成功するために必要なこと


スタートアップが成功するための必須要素は何でしょうか。

オマール氏: チームだと思います。日々一緒に仕事をし、共通のミッションを追い求められる人々が必要です。一緒に始められる正しいパートナーを選ぶことは最も重要なことです。ユーザー獲得や製品、すべてそれに付随します。どこと協業するかという判断は起業家として良し悪しをもたらすので、もし本当に強いチームとパートナーと組むことができたらすごい効果を発揮するでしょう。

山本: オマール氏に全く同感です。もしつけ加えるとしたら素晴らしい「ビジョン」と「実行力」を持っているべきだと思います。私はこれらがスタートアップが成功するのに必要な要素だと思います。


アプリ開発者に何かメッセージはありますか。

オマール氏: 毎日アプリストアでは数百、数千のアプリがリリースされています。非常に競争が激しく、悪いアプリに対してユーザーは我慢してくれなくなりました。ユーザーはすぐさまアプリを消去するか、悪いレビューを書き込んでサービスを終了に追いやるので、品質の低いアプリは提供できないですし、バグや障害は起こせません。だからこそユーザーに寄り添い、フィードバックを得て、信頼関係を築き、バグの改善に取り組まなければなりません。

ユーザーが1日にアプリを利用するおよそ4時間のうち、すでにFacebookやInstagram、SnapChatなどがその多く占めている中で、他のアプリ開発者がユーザーの2-3分を搾り取るためには、何よりも良い製品を提供する必要があります。


どうもありがとうございました!
なお、原文はこちらに掲載しています。



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