Chatwork導入当初は思ったような成果が出せなかったそうですが、運用ルールを見直した結果、現在では「報連相」の時間が削減され業務の効率化が進んだといいます。具体的にどのような運用で成果を上げたのか。同社でIT委員会の委員長を務める市原 貴史さまに話を聞きました。
消えた仕事とその道のり
運用ルールの見直しで導入効果が劇的に改善
――Chatworkを導入したきっかけを教えてください。市原:もともとお客さまがお使いだったことがきっかけです。タスク管理機能が良いなと思って導入し、社内・社外の連絡ツールとして使い始めました。現在は「報連相」の手間を削減できるなど業務効率化になくてはならないツールですが、実は最初からうまく運用できたわけではありませんでした。導入したものの、しばらくは効果が出ない時期が続いていました。そこから運用の仕方を見直し、API連携などを導入して改善していきました。
――なぜ効果が出なかったのでしょうか。
市原:大きな原因は各グループチャットの目的や定義がはっきりしていなかったことです。そのせいで同じようなグループチャットが重複して作られたり、目的不明のグループチャットがあったりと、グループチャットが乱立してしまっていました。これではどのグループチャットで発言すればいいのかや、情報がどこにあるのかがわかりません。結果として、むしろ報連相の手間が増えてしまっていたのです。
――その課題をどのように改善していったのですか。
市原:部署を横断して結成したIT委員会のメンバーである八木という者が中心となって運用ルールをあらためて作成しました。意識したのは「簡単であること」と「皆にやらせないこと」です。たとえば以前は誰もがグループチャットを作成できていましたが、今は限られた人しか作成できないというルールを設けています。
その上で、乱立していたグループチャットを整理していきました。各グループチャットの存在意義や目的を定義し、重複するグループチャットについては「終了」という名称をつけて閉じるようにしました。
グループチャットの作成を自動化して乱立を防止
――現在、グループチャットはどのように運用していますか。市原:グループチャットには2種類あります。まず、社内連絡用のグループチャットです。全社用、各会議体、雑談、入電ログ、各会議体からの情報発信用など用途に応じて使い分けています。先ほど申し上げたように、この社内グループチャットについては八木だけに作成権限があり、重複しないよう管理しています。
もう1つは顧客について社内連絡をおこなうためのグループチャットです。これは顧客ごとに作成するため、社内用と違って無限に存在しても構いません。顧客用のグループチャットについては各担当者にも作成権限がありますが、各々が好き勝手に作成してしまうと統一感が失われて見づらいため、kintoneと連携してグループチャットの作成を自動化しています。
具体的には、kintoneの顧客情報が入力した際に、同じ顧客に関するグループチャットが存在しないかどうかが自動的に確認され、グループチャットが存在しない場合だけ新規で作成されるよう連携しています。自動化することでグループチャットの名称やアイコン、概要欄などがルール通りに入力されるので見やすく整理できます。
API連携を駆使してタスク状況を周囲と共有
――その他に工夫した点はありますか。市原:IT委員会の一杉と高見という者がタスクについてのルールを考案しました。たとえばタスクを作成する際、「タスク完了時に通知すべきメンバー」へのToをタスクの本文に入れることにしています。また、これを応用し、顧客との重要なやり取りや第三者へのタスクにはチームメンバーや上長のメンションをつける運用を徹底することでタスクの始まりと終わりを的確にメンバーに共有できるようになりました。
タスクにも八木が作成したBotを活用しています。特定のグループチャットで期限切れになっているタスクを集計し、定期的にリマインドするBotです。タスクの情報だけでなく、それが何回目のリマインドなのかも記載することで、放置してしまっているタスクを周囲が把握できるようになりました。
この他にも、APIで作成した自分あての返信をまとめるグループチャット、通称「メンションまとめ」は非常に便利です。コメントの内容とURL、発信者などを見やすい形式にまとめて「メンションまとめ」に投稿するというシンプルな仕組みですが、ここを終業間際にさらっと確認すれば返信漏れに気づくことができるので重宝します。
Chatworkのおかげでタスク漏れがなくなり「報連相」の時間も削減
――Chatworkを導入した成果をどのように感じていますか。
市原:大きな成果は、いちいち“報連相”しなくても他の人のタスク状況がわかるようになったことです。誰に何件のタスクが残っていて、それがタスク期限から何日経過しているのかがわかるため、上司や他のメンバーがしっかりとフォローできるようになりました。
会計事務所では1顧客に対して1人の担当がつきます。基本的に業務は1人でまわせますし、他の人が介入しないほうが生産性が高いことが多いのです。そのため、どうしても業務が属人的になりがちです。
ただ、1人でまわせるがゆえにタスクの状況を周りが把握しにくいことが課題でした。特に現在はテレワークで業務をおこなっているため、誰がどれくらい仕事をしているのか定量的に評価できないと困ります。Chatworkのおかげでタスク状況がオープンになり、テレワークもやりやすくなったと感じます。
――Chatworkの導入を検討している企業へメッセージをお願いします。
市原:Chatworkを入れたからといって、すべてがうまくいくわけではありません。大事なのはChatworkをどう使うかです。導入初期に運用ルールをきちんと策定することが重要です。
Chatworkはメールの限界を突破できるツールであり、コミュニケーションがよりスムーズになることは間違いありません。属人的だった現場が少しずつ変わってきているのはChatworkのおかげです。本当にChatworkを導入してよかったと思っています。
――ありがとうございました。
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<登壇者プロフィール>
Seven Rich会計事務所
市原 貴史さま
スタートアップ支援を得意とする税理士・会計士事務所。会計・税務にとどまらず、会社設立、資金調達、コンサルにいたるまで多岐にわたり会社経営をサポート。経営者の左腕として「守り」の視点からビジネスを支える。